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気品ただよう貴公子、柳家花緑

 1月に予定されていた柳家花緑の落語会が、インフルエンザによって今日に延期。今週はちょっと仕事が立て込んでいるものの、隣の大府市まで車を飛ばし、ダッシュで駆け込み、テケテンテンテンの出囃子とともに席に着くことができた。
 花緑について少し説明すると、人間国宝、柳家小さんの孫で、永谷園のCMで小さんと共演している人の良さそうなアンちゃん。NHKアラビア語会話になぜか出演。全く関係ないけれど、年齢はダンナと同じであります。
 説明はこれくらいにして、初めての花緑、良かった!正直、ここまで面白いとは思わなかったので、ものすごく得をした気分。抑えきれないくらい爆笑して、仕事の疲れも吹っ飛んだ。仕事が残ってなかったらビールで乾杯してたな。
 延期になってしまったことを詫びる気持ちもあってか、マクラでは会場の大府市民を持ち上げる持ち上げる。観客も言いすぎよって思いながらも、喜ぶ喜ぶ。おそらく持って生まれた資質なんだと思うけど、世辞が上手い!ズンドコの氷川きよしのように、オバチャン世代に大ウケで、とにかく喋ればドッと笑いが起きる、今日はそんな雰囲気でした。
 
 まずは、愛知出身の柳家緑君(ろっくん)が前座を務め、最初は『金明竹』。わてな、と関西弁の早口でまくし立てるセリフを、話の都合上、4回繰り返して言ってたっけ。話の登場人物の女将さんと同じく、意味はさっぱりわからなかったけれど、やるなぁ前座!という拍手が沸いた。
 そして、花緑が登場。ちょっと長めのマクラの後、小噺を挟んで一席目は「片棒」。金、銀、鉄の三人息子を持つ赤螺屋(あかにしや)ケチベエさんが、弔いのやり方で誰が跡継ぎに相応しいか判断しようとする。
 金は豪勢な御馳走に手土産、車代と婚礼祝いのような贅沢な弔い。銀は木遣歌にはじめり、芸者の手古舞、山車に太鼓と笛のお囃子、神輿を担ぎ、花火でドカーンと一発、祭りのような弔い。鉄はといえば、ケチベエに勝るとも劣らずドケチで、とことん安く済ませようとする。しまいには死んだ親父に棺の担ぎ棒を担がせると、ここでサゲ。
 金、銀、鉄の三人息子の描写が、花緑の腕の見せどころ。太鼓や笛、からくり人形のモノマネ、ありとあらゆる芸を披露し、どこかコミカルで可笑しいのが花緑の持ち味のような気がした。
 
 二席目は「不動坊」。不動坊とは講釈師の名前で、巡業先で急死してしまう。残された未亡人のお滝さんの再婚相手として白羽の矢が立ったのが、同じ長屋に住んでいた利吉さん。お滝さんは綺麗な人だったようで、彼は秘かにお滝さんに恋焦がれており、浮かれまくる。その様子を見た長屋仲間は面白くない。そこで、講釈師不動坊の幽霊を出して脅かしてやろうと企てる。幽霊役に選ばれたのが林家正吉(調べたら、へたれの落語家として名前が載っていた)。この人のキャラクターがマイペースで可笑しい。というように、話の主役は利吉さん、長屋仲間、幽霊の順で入れ替わる。演ずる花緑も着物を脱いで湯に浸かり(利吉さん)、チンドン屋になって太鼓を叩き(長屋仲間の一人がチンドン屋で、幽霊が登場する時の効果音を出す)、幽霊として天井から吊り下げられたり、忙しいったらない。聞く側の想像力をかなり求める話だけど、花緑の描写が絶妙だから、登場人物が見える。すごい!気が付いたら、かなり前のめりの姿勢で見入っていた。

 夕方6時45分から始まり、終了したのが21時近く。終了後、本やCDを購入した人のみサインがいただけるというので並ぶ。50人以上は列ができていただろうか。本はサイン済みだったけれど、一人一人の名前を書いてくれるらしく、会場スタッフから名前を書いてください、と円形の付箋を渡される。名前を書いたら空白ができたので、感想を一言二言書いた。その付箋を張って本を差し出す。すると、「サインを書きながら感想を読めるってイイですねぇ」と、花緑さんがニコッと笑いながら話し掛けてくれるではないですか。嬉しさのあまり、ニタ~ッとだらしない顔になる。面白かったですとか、また見に行きますとか、ありきたりのことしか言えなかったが、両手でしっかり握手をした。ローズの香りがするハンドクリームを塗っておいて良かった~。
 花緑さん、名のごとく、花が咲いたように眩しい明るさがあった。真っ白なカラーがワタシのイメージ。今日購入した本を読むと、18歳の時に反抗期があったそうですが、真っ直ぐ育った感じの好青年、いや貴公子のよう。今日初めて見たばかりだけど、すでにファンになっております。(まり)
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コメント

take

うっ、うらやましい・・・
・・・無理してでも行けば良かった・・・

なんだか最近の私は、落語の神様に嫌われてしまったような・・・

nao

たった今、ダンナともども
常滑から帰り着きました・・・

いや~太鼓以上に落語にハマっていくお姿、
なんだか鬼気迫る感じですね。

花緑は地下鉄H駅上のT区民ホールで
NHK公開録音があった折、会社の目と鼻の先でしたから
いそいそと出かけました。葉書応募が当たったのでタダでした。

うん、ほんとにお育ちが宜しい好青年でした。
笑点に出ている若手といっしょに登場しましたが、
下品なまでの行き過ぎの調子いいヤツを
うまいことたしなめているのが印象的でした。
小さん師匠の抑制のきいたトボケた愛嬌が
彼にも受け継がれていくのでしょうか・・・



にしやん

ローズの香りのするハンドクリームに笑ったよ~
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MARUKADO

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東海地方を縦横無尽、全国各地に神出鬼没の取材・執筆・編集事務所。
ライター/編集者/媒体によっては撮影も。
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まさ…岐阜・揖斐川町出身
まり…愛知・尾張地方出身
2003~2019愛知県知立市在住
2019~岐阜県揖斐川町在住
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