FC2ブログ

談春、啖呵を切る

 今流行りのインフルエンザA型にかかってしまった落語の師匠の代わりに、今日はワタシ一人で立川談春の独演会に行ってきた。開場は名古屋の中電ホール。2700人収容の大阪フェスティバルホールも満員にした談春のこと、約450人収容のホールはもちろん満席だった。客はファンと思わしき一人客が目立ち、着物でいらしている方もちらほら。2000円のパンフレットやCDも好調に売れていた。
 
 開演は夕方6時。前座の立川春太が『たらちね』を演じた後、談春が現れる。大阪フェスティバルホールの独演会、情熱大陸の裏話等を盛り込んだマクラを20分ほど喋った後、一席目は『へっつい幽霊』。これはCDで何度か聴いている。この話は、博打好きの幽霊と、博打好きの熊さんが博打をするところが見せ場。うらめしや~の手で幽霊がサイコロを転がすシーンを、生で見られたことが嬉しくて仕方なかった。
 
 中入り後は『大工調べ』。この話の登場人物は、大工の棟梁、大工の与太郎、大家さんの3人。店賃の担保代わりに大工道具を持っていかれてしまった与太郎に、棟梁は滞納金の一部を与太郎に渡して、道具を返してもらえと伝える。与太郎の言い方もまずいが、大家は道具を返してくれない。ならば棟梁自ら頭を下げようと大家に出向き、足りない分は後から必ず払うと言う。ところが、ちょっとした言葉の言い回しから大家は意固地になり、全額払ってもらわなければ道具は返せないと一歩も引かない。もとはといえば与太郎が悪いのだが、棟梁は大家の態度にぶち切れて、啖呵を切る。これが、物凄かった!
 
 時間にして一分、いや二分、三分くらいあっただろうか。トレモロのようなスピードで、畳み掛けるようにまくし立てる。まくし立てるというと、ちょっと下品な感じがするから、これは少し違うか。流暢な語り口なんて表現では物足りない。ドラムの連打を聴いているような感覚といえばいいだろうか。昨年、喉の手術をしたにもかかわらず、よく通る声も健在で、心地のよい調べを聴いているようだった。観客席からスゲェ!見事だ!という気持ちを込めて拍手が沸き起こる。クラシックならば、ブラボー!と、誰かが発しただろう。ケンカを売っているわけだから、内容は決して綺麗ではない。というか、内容はほとんど覚えていない。啖呵の後に、当事者の与太郎が「ケンカを打っていたようですね・・・」と、ポォーッとした表情で言うが、ワタシも与太郎と同じく、棟梁の(談春の)声や語り口に聞き惚れてしまっていたからだ。
 師匠の談志とも違う、志の輔にもない、立川談春にしかできない話芸。談春の底力を見せ付けられた独演会だった。(まり)
スポンサーサイト



コメント

take

談春、独演会の詳細ありがとうございます。
10年先、20年先の自分のための「心の貯金」だと思って、
今の談春の落語会には無理してでも足を運ぶようにしているのですが、
インフルエンザだけはどうしようもありません。

「てやんでえ、この丸太ん棒め。
お前なんか目も鼻もない。血も涙もないから丸太ん棒だっていうんでえ」
『大工調べ』のこの啖呵、志ん朝のCDやDVDで幾度となく聞きましたが、
いつ聞いても胸がすかっとします。
まったくこのご時世、丸太ん棒が多すぎるからでしょうか。
今、一番勢いのある落語家、談春がこの啖呵を切ったら、どれほど痛快なことやら。
うっ、行きたかったなあ(; ;)

さあ、インフルエンザも治ったし、明日は花緑だと思っていたら、たった今、主催者の大府市役所から電話がありました。
「実は花緑さんがインフルエンザにかかりまして、明日は延期ということで・・・」
本人がインフルエンザじゃしょーがねえ。
ほんと、落語のようにみごとなオチがつきました。
これはもう笑うしかありません。
非公開コメント

MARUKA-DO

----------------------
東海地方を縦横無尽、
全国各地に神出鬼没の
取材・執筆・編集事務所。
----------------------
まさ…岐阜・揖斐川町出身
まり…愛知・尾張地方出身
2003~2019愛知県知立市在住
2019~岐阜県揖斐川町在住

カレンダー

09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

月別アーカイブ

全記事表示リンク