まだ続く国鉄バス関連ばなし。
木ノ本と敦賀を結ぶ国鉄バス柳ヶ瀬線には、旧余呉町内に二本の支線がありました。ひとつは、国道365号を北上して中河内(なかのかわち)に行く路線。

ここは滋賀県最北端の集落で、北へ4kmほど進むと福井県境の木ノ芽峠です。隣の集落は、南の椿坂まで約6km、北の板取まで約9kmも離れており、隔絶感は湖北地方随一。古くは北国街道の中河内宿として賑わったらしいですが、今やその名残は見当たりません。

旧道沿いに家が連なっているものの、妙なサッパリ感がある景観です。昭和35年(1960)の大火でほとんどの家屋が焼失し、宿場町の面影を失ったとか。

目に付くのは、コンクリートブロックを積み上げた堅牢にして簡素な小屋が何棟も並んでいること。豪雪対策でしょうか。角川地名辞典(昭和54年)で中河内を引くと「冬は積雪に埋まり、『滋賀県の北海道』と呼ばれる」とあります。田舎をイジるツイートじゃあるまいし、辞典にそんなしょうもうないフレーズを載せなくても…。

ちなみに、中河内の4km先の県境の風景。なかなか雄大でそそるけれど、豪雨災害により去年から現時点に至るまで長期通行止めになっています。

もうひとつは、高時川の中流に位置する菅並へ至る路線。


ここはかつて茅葺屋根集落だったところで、今では「屋根カバーを被せた茅葺集落」という風景が見もの。湖北にはこうした屋根カバーの古い民家が広範囲で見られ、中でも菅並はもっとも密集した集落ではないでしょうか。
どちらも地域性が表れた特異な集落景観で、もっと世に知られてもいいのではと思います。とは言え、マニア以外にはなかなか良さが伝わりづらいのは否めず、観光パンフやSNSなどでも宣伝しようがないですが…。

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