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筒、甕、枡、桶

 井戸筒は名前からして「井戸専用土管」という感じがしますが、用途は別に井戸に限らないようです。例えば、神社仏閣の軒下に置かれる「天水桶」も、井戸筒の範疇に含まれます。

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 こういうヤツですね。防火用に雨水を溜めておくための設備です。写真は、向山共同井戸から西へ100mほどのところにある常滑きっての古刹、正住院の山門。

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 ただし、山門左側の天水桶は井戸筒そのものですが、右側の天水桶はこのように「用水」の文字があしらわれており、最初から天水桶として発注され(ちなみに製作者はヤマチョウ豊和製陶→●□)、寺に寄進されたことがわかります。
 通常は2個ワンセットで寄進され、このように左右で異なる種類の天水桶が置かれている例はここ以外で見たことがありません。どうやら当初は右と同じのものが左にもあったのですが、破損してしまったので井戸用の井戸筒を転用したようで、壊れたものが境内に置いてあります。

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(2011.04.20)

 美浜町北方の知多四国26番弥勒寺にある天水桶は、紋様と「用水」の文字が浮き出たタイプ。正住院の右のモノに比べると、より井戸筒っぽい形状。

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(2012.04.28)

 知多四国の寺院では、井戸筒ではなく甕を天水桶として寄進される例もいくつか見られます。それらにはド派手な装飾が施されていることが多く、見事なもの。これは常滑市千代ヶ丘にある知多四国65番相持院。昭和48年に松下福一という方(甕づくりの職人らしい)が寄進したもの。

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(2008.05.27)

 知多四国をはじめ各地の寺を見て回っている限りでは、井戸筒にしろ甕にしろ陶製の天水桶は常滑とその周辺に集中している印象で、愛知県では石製のシェアのほうが高いように思います(西三河の例→●□)。桶というか石枡。
 写真は美浜町小野浦の知多四国48番良参寺で、慶応2年の寄進。廻船で栄えた土地らしい文字が刻まれています。
 神社仏閣にはもともと手水、鳥居、狛犬、常夜燈、石仏石像、参道の敷石など石製品が多く使われています。おそらく、神仏業界は石製品産地・岡崎の寡占状態だったところへ、近代になって常滑の陶製品が食い込んできた(けど、地元以外ではあまり普及しなかった))と見ますが、どうか?

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(2013.05.07)

 ただ、少し引っ掛かるのは、井戸筒も甕も石も「桶」に見えないこと。知多四国の寺院関係者が一様に「天水桶」と呼んでいるのでそう表記しましたが、他の呼び方はないのだろうか。
 そんな中では、美浜町時志にある知多四国番外札所の時志観音影現寺(→●□)に近年寄進された鋳物の天水桶は、かなり桶っぽい。
(まさ)

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コメント

ナオ

益々マス
雨水桝(うすいます)。知多奥田の報恩寺にもあったような。美浜町のような水不足に陥りやすいエリアには、たくさん残っているかもしれない。

まさ

報恩寺のは甕を半分地中に埋めたものじゃなかったかと思います。水不足の地に限らずどこにでもある印象です。

nao

ラジャー。
そうだったかも。しかし、あれらは、知多半島じゅうにあったんですか!?

まさ

ありますよ。寺院建築の重要アイテムのひとつです。
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MARUKA-DO

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東海地方を縦横無尽、
全国各地に神出鬼没の
取材・執筆・編集事務所。
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まさ…岐阜・揖斐川町出身
まり…愛知・尾張地方出身
2003~2019愛知県知立市在住
2019~岐阜県揖斐川町在住

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