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第三の弘法0002

 その矢田の取材では、集落を見下ろす高台にある信谷院(しんこくいん)にお邪魔しました。記事を書くときに参考にした戦前の郷土本にこの寺にある石造物の謂れや寺にまつわる伝説が載っており、どんなところかと見に行ったのです。知多半島では取材7割趣味3割で知多四国、直伝弘法、南知多三十三観音、知多西国など多くの寺を巡っている私ですが、ここはどの霊場の札所でもなく、初参拝です。

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 家と家の間に伸びる狭い道が信谷院の表参道。土管坂もいいですが、この雰囲気もたまりませんネ。

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 緩い坂道になっている表参道の突き当たりの石段を登ると本堂です。
 実はここへはノーアポでいきなり訪ねたのですが、御住職が快く対応してくださり、庫裏に上がってお話を伺うことができました。するとそこで、驚くべき木像仏に遭遇。

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 なんと弘法大師像ではないか!
 しかしこちらは知多四国の札所でも直伝弘法(→●□●□)の札所でもないのにどうゆう事?と思ったら、地区で管理している近所の薬師堂が「知多本四国」という弘法大師霊場の51番札所で、こちらでその尊像を預かっているとのこと。
 知多本四国(別名・本四国写し弘法)は、知多四国より50年ほど早い宝暦3年(1753)頃に南知多・岩屋寺の僧侶によって開創されたとされる弘法大師霊場です。以前、榎戸の龍雲寺(直伝70番)に参拝したとき御住職にその存在を教えてもらい、当ブログで「第三の弘法」として紹介したことがあります(→●□)。
 知多四国や直伝弘法と同じく知多半島全域に札所が置かれていましたが、正確な開創年やどれほどの巡拝者があったのかなど、詳しいことは不明。おそらく、少し遅れてできた知多四国の隆盛によって淘汰され、かなり早い段階で巡る人もいなくなってしまったと考えられます。

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 なんと納経帳に押す版木まで大切に保管されていました。
 マイナー弘法大師霊場の探索はキリがなさそうで、今まであえて深追いせずにきたのですが、こういう貴重な物を目の当たりにするとマニアの虫がぞわぞわと蠢き始める…。

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 もともとの札所である矢田の薬師堂は、集落の真ん中の高台にあります。三和地区の戦前の郷土本によると、本尊の薬師如来はむかし矢田川のむかし川ざらえをしたときに発見されたもので、弘法大師作と言われているとのこと。
(まさ)

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◎参考までに、知多本四国の札所一覧
01 岩屋寺奥之院(南知多町岩屋) 知外
02 全忠寺(美浜町河和) 直39
03 法蔵院(半田市乙川) 直40
04 法華寺(美浜町矢梨)
05 北室院(南知多町大井) 知33
06 神護寺(南知多町師崎)
07 桂岩寺(常滑市多屋) 直68
08 光明寺(常滑市北条)
09 正衆寺(南知多町豊浜) 直49
10 龍江寺(南知多町山海)
11 内福寺(南知多町内海)
12 昌久寺(南知多町内海)
13 全久寺(南知多町内海)
14 宝積院(南知多町内海)
15 善宝寺(美浜町奥田)
16 西岸寺(南知多町内海) 直51
17 宝樹院(南知多町内海) 直52
18 円通寺(南知多町内海)
19 正蔵寺(美浜町野間) 直54
20 瑞延寺(美浜町奥田) 直20
21 大仙寺(美浜町上野間) 直58
22 東光寺(常滑市坂井) 直60
23 広目寺(常滑市広目) 直61
24 瑞泉寺(常滑市桧原)
25 安養寺(常滑市古場)
26 薬師寺(常滑市熊野) 
27 称名寺(常滑市西阿野) 直64
28 正住院(常滑市保示) 直65(旧)
29 天沢院(常滑市山方) 直66(旧)
30 桃源寺(常滑市山方)
31 宝樹院(常滑市奥条) 直67
32 極楽寺(南知多町豊浜)
33 海徳寺(常滑市榎戸)
34 龍雲寺(常滑市榎戸) 直70
35 西用寺(常滑市西之口)
36 清閑寺(常滑市宮山)
37 蓮生寺(常滑市小倉)
38 蓮台寺(常滑市小倉)
39 一味寺(常滑市大野)
40 甘露院(常滑市大野)
41 洞仙寺(常滑市大野)
42 海音寺(常滑市大野) 直74
43 妙音院(知多市新舞子) 直75
44 福田寺(知多市日長)
45 瑞光寺(知多市日長) 直76
46 福寿寺(知多市新舞子)
47 桂林院・薬師堂(知多市金沢)
48 普明院(知多市金沢)
49 随応寺(知多市金沢)
50 大興寺(知多市大興寺)
51 薬師堂(常滑市矢田)
52 安養寺(半田市板山)
53 観音寺(半田市成岩) 
54 大昌寺(半田市成岩) 直27
55 来迎院(半田市成岩) 
56 超世院(半田市成岩) 
57 松上寺(半田市乙川)
58 摂取院(半田市上半田) 直24
59 常福院(半田市岩滑) 直23
60 地蔵寺(阿久比町植大)
61 薬師寺(半田市上半田)
62 済乗院(阿久比町矢高)
63 弘誓院(阿久比町卯坂)
64 最勝寺(阿久比町卯坂)
65 法久院(阿久比町萩)
66 清光寺(阿久比町横松) 直22(旧)
67 海蔵寺(半田市乙川) 直22・知外
68 宝鏡寺(半田市平地)
69 海潮院(半田市亀崎) 知54
70 神後寺(東浦町生路) 直19
71 玉洞院(東浦町石浜)
72 宝安寺(阿久比町白沢)
73 正盛院(阿久比町草木)
74 浄土寺(南知多町豊浜小佐) 知外
75 龍光寺(阿久比町草木)
76 地蔵院(大府市大府) 直10
77 天徳院(知多市佐布里)
78 極楽寺(知多市八幡)
79 光明寺(知多市八幡) 直82
80 吉祥院(知多市八幡) 直79
81 常光院(知多市八幡) 直80
82 妙乗院(東海市養父) 直83
83 長源寺(東海市高横須賀) 直86
84 運得寺(東海市荒尾)
85 松仙寺(常滑市蒲池) 直71
86 明忠院(緑区大高) 直04
87 高照寺(天白区八事)
88 興正寺(昭和区八事)

・この一覧は個人の巡拝者が昭和50年代に調査してまとめた資料に基づいています。現在は廃寺になっているところもあるようです
・直は直伝弘法の札所。知外は知多四国の札所(外は番外札所)
・順打ちすると一筆書きできるルートになるようですが、ところどころ札所の場所が不自然なので、開創時の札所とは異なる可能性が高いように思います。知多四国でいうと、諸事情で野間の寺院から札所を委譲された半田市亀崎の54番海潮院のような例があったのかも
・昭和53年に刊行された「岩屋寺誌」第三版には「同年頃(筆者註:知多西国三十三観音の開創と同じ頃、という意味)知多本四国弘法大師八十八ケ所を奉安。岩屋寺を一番、奥之院を二番と定む」とあります
・直伝弘法との重複寺院が3分の1近くもあります。直伝弘法の開創は大正14年で、名鉄のバックアップを受けて開創されたんじゃないかと僕は考えているのですが、もしかするとその時、すでに廃れていた知多本四国の札所に声を掛けて札所を制定したのかもしれません。
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コメント

なお

本四国と新四国
たいしたもんだ。矢田の小さな寺院から版木も出てきてビックラポン。51番札所の弘法大師像、スゲー化粧。ケバい❗でも、貴重。

まさ

他の寺でも知多本四国の弘法像を見ていますが、本四国の弘法山は笑みを浮かべているんですよね…。

なお

本四国 なんでだろ〜なんでだろ〜
弘法大師の笑みの意味。それも本四国の個性とな? 矢田はいろいろ教えてくれますね。
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MARUKA-DO

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東海地方を縦横無尽、
全国各地に神出鬼没の
取材・執筆・編集事務所。
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まさ…岐阜・揖斐川町出身
まり…愛知・尾張地方出身
2003~2019愛知県知立市在住
2019~岐阜県揖斐川町在住

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