ローカル銀座考序説

2016年03月14日
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 今回のキーワードは「座」ということで、毎回やってる地名探訪のコーナーではかねてから調査してみたかった「銀座」を取り上げました。当ブログでもちょくちょく書いてますが、その完全版を目指したわけです。
 ローカル銀座ネタなんてすでに誰かがやってそうなもんですが、研究論文、レポート、資料などは意外にないようで、とりあえず紙媒体で三遠南信の銀座調査&銀座論をやったのは史上初ではないかと自負します。と言いつつ誰かやってたらスイマセン。
 ここで取り上げるローカル銀座というのは、本家である東京の銀座(→●□)にあやかって命名された地方商店街の銀座のことです。ローカル銀座と聞くと、おそらく多くの人が「昔は繁華街、今はシャッター街」というようなイメージを漠然と抱くのではないでしょうか。その正否はさておきまして、とりあえず「本誌エリアに銀座はいくつある(あった)のか?」を解明してみました。
(※なお本誌エリアは、東三河全市町、西三河のうち岡崎市・豊田市・西尾市・幸田町、遠州のうち浜松市・湖西市、南信のうち飯田市・下伊那郡になります)

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 答えが知りたい人は本誌を買ってね…と言いたいところですが、当ブログで各銀座の分析をしようと思っているのでネタバレ承知で書いておきますと、わたくし独自の調査により文献資料、地元住民の証言等から確認できたのは、以下の14銀座でした。

【西三河】
岡崎銀座、挙母銀座、トヨタ銀座(高岡)、足助銀座、一色銀座
【東三河】
豊橋銀座(→●□)、蒲郡本町銀座(→●□)、蒲郡海岸銀座(→●□)、新城銀座、小坂井銀座
【西遠州】
砂山銀座サザンクロス(→●□)、二俣西町銀座、雄踏銀座
【南信州】
飯田銀座(→●□

※註1:本誌では「12銀座」と書きましたが、締め切り後にこちらのサイトを拝見して三河一色にも銀座があることに気が付き、この一覧で加えました。僕がチェックした時点ではかつて「銀座」だった街灯表記が「上中町」となっていたため(→●□)、うっかりスルーしてしまったものです。
※註1-2:さらに追加で、愛環三河豊田駅近くの「みゆき商店街」(旧碧海郡高岡町)がかつて10年ほど「トヨタ銀座」を名乗っていたことに気が付きました。(3/23追記)
※註2:これ以外に西三河の幸田町に「幸田駅前銀座」がありますが、近年の区画整理事業に伴い整備された新興商業地の愛称であり、本稿で扱う銀座とは性格が異なるため除外しています。

 もしかしたら他にも「一時期だけ名乗った」とか「地元民のみに通じる愛称」といった知られざる銀座があるかもしれません。もし御存知でしたら情報をお寄せください。
 正直なところ、調べる前はもう少しあるんじゃないかと思っていました。三河にはけっこうありますが、西遠州がちょっと少ない気がします。しかし主だった市街地を調べてみると、例えば気賀(北区)に「中央商店街(上町)・清水通り・落合通り・旭通り」、鷲津(湖西市)に「横須賀通り」などのストリート名称が見られるものの、銀座はどうも存在しなかったようです。
 すなわち、町がそれなりに大きいからと言ってかならずしも銀座があるわけではない、というのが調査から最初に得られた結論です。

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 というか「そもそも銀座は地名なのか?」という疑問もあります。
 銀座の名は通常「銀座通り」というストリート名称で表出し、住民や商店街利用者に浸透してゆきます。そのストリート名称はどこから出てきたかというと、ほとんどが商店街の組織名です。三遠南信では唯一、飯田の銀座が戦前に誕生し、あとは戦後復興とともに商店街組織の活動が活発化する昭和20~30年代に命名されているようです。
 ところが商店街が衰退し、それに伴って商店街組織も縮小・統廃合などすると、自動的にストリート名称も「風化」していきました。上記の銀座を見ると、歴史のある飯田銀座は正式な地名(飯田市銀座一~五丁目)として固定化しており別格としまして、組織名として銀座の名が生きているところも幾つかはあるものの、ストリート名称として生きており、広く浸透している銀座はほぼないと言ってもいいくらいです。名前を聞いてどこのことかすぐ分かるのは、もはや地元の高齢者ぐらいではないでしょうか。
 町の歴史を長いスパンで見たとき、その場所が銀座という名で呼ばれたのはごくわずかの期間にすぎません。つまり銀座は、地域商業の消長の中で突如現れいつしか消えていった、一陣の風のようなもの。一時期でもそう呼ばれたのなら地名と言うべきなのかもしれませんが、あまりにも脆弱です。
 調査の結論その二、いわば銀座は風である。おっと、なんかカッコいいぞ。現状はいずこも地味だけど…。

 そんなわけで次からの当ブログは当分の間「三遠南信の銀座シリーズ」が続きます。
(まさ)
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