TMの時代~T編

2013年10月08日
 日曜日、頼まれて義父の蔵書を整理していたら、書棚から昭和40年代のガイドブックがたくさん出てきた。編プロに勤務していた一時期、飛騨の観光ガイドを何冊か編集したこともあって、業界の「先輩」が各所の見どころをどういうふうに捉え、扱っているのか、実に興味深いので貰ってきました。
 観光ガイドは言うまでもなく最新情報が肝なので、発行から数年でゴミみたいな存在に成り下がってしまうのが宿命ですが、30年もたてば資料価値も出てくるってもんです。いつかこういう資料を駆使して、観光ガイドブックの歴史みたいなものをまとめたいなあと思っておる次第。まあでも、興味ある人はほとんどいないでしょう(なのできっとやらないでしょう)。

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 蔵書には実業之日本社の「ブルー・ガイドブックス」というシリーズが何冊かあり(今も同社のガイド本のシリーズ名として継続)、その中に一部のマニアに有名なレイルウェイ・ライター種村直樹氏の「旅のABC」を発見!おお、これは一部のマニアにとっては伝説の書ではないか!
 種村氏が新聞記者を辞めてフリーのレイルウェイ・ライターを標榜し始めた最初期の一冊…というようなことが、中学か高校時代に読んだ氏の自伝本、たしか「きしゃ記者汽車」に書いてあったような覚えがあります。
 内容は、旅にまつわる項目をピックアップして50音順に並べたもので、どことなく「現代用語の基礎知識」を思わせる。もちろん基本情報や役に立つ豆知識が中心なのがだ、随所にオタネムラ氏ならではのオヤジ的主観、テキトーな見解、ページを埋めるためと思しきどうでもいいネタが挿入され、なんというか、昭和40年代らしい紙媒体ギャグの香りも…。
 いくつか拾ってみるとこんな感じ。

お座敷列車/…団体で貸切れば、芸者を乗せて、どんちゃん騒ぎをやってかまわない。(マジで!?)

女/…すべて旅先の女性は情こまやかなるものと知るべしという教えかもしれないが、一方ではきわめてビジネスライクなのが今日の女性の特徴ともいえよう。(超偏見!?)

ガイドブック/…名の通った出版社のガイドブックを数冊拾い読みしたら、あまりまちがいが多いのに驚き、サインペンで訂正してみると、たちまち、まっ赤になったページもあった。(同業者なのにヤラシイね!)

キセル/…あなたも一度や二度は経験済みかな。(自分と一緒にするか!?)

ゴールデンウィーク/…あるいは人の少なくなった都会を歩いたり、とくにこれといった名所のない郊外を目指すのも穴である。(テキトー)

自動販売機/…温泉街に300円くらい入れると「ぞくぞくする夢のプレゼント」などが出てくる自動販売機があるが、あけてみて腹が立つだけなので念のため。(買ったんかい)

新聞/…読み終えた新聞は捨ててしまわないで、バッグの片隅に入れておくと、乗り物の中で敷物代わりに使える。植物採集をすれば包み紙になるし、雨が降れば、しばらくカサの役も果たす。(どうでもいい)

東海道五十三次/…まだ小学校へあがらないころ、わが家に〈ヤジキタすごろく〉があった。(中略)この、すごろくをお持ちの方があったら、お知らせいただきたい。(なに聞いてんだ)

ひとり旅/…あちこちで、ひとり旅の娘さんを見かけるのだが、追いかけて行って声をかけたくなるようなチャーミングな人に、なかなか出くわさないのは残念だ。(知るか!)

 いやー、イケイケの頃の種村先生は面白いなあ。ガイドブックなのに書きたい放題。活字に勢いがあった古き良き時代の名著といえましょう。
(まさ)

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2013.11.17追記
 先ほど『旅と鉄道 増刊12月号~種村直樹の鉄道旅行術』(朝日新聞出版)というのが発売されたので、おおセンセイ復活か!?と思って買ったところ、いまだ病床におられるようで本人の現在写真も最新原稿も未掲載。これじゃ追悼刊行だよ…。
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