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「知多半島の昭和」を読む

 前回に引き続き樹林舎「知多半島の昭和」プロモーションシリーズ。

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 このような資料集成的本は、出版社が培ってきたノウハウに基づき、ある法則にしたがって組み立てていきます。なので、知多だろうが三河だろうが、どこで作っても同じようなものになる…ということばかりでもなくて、担当者の個性や地域観がけっこう反映されるものです。もっとも、買う人はその地域にしか興味がない場合がほとんどなので、読み比べてどうこう言われることはまずありません。作り手としては、助かるような、物足らないような…。
 僕の場合は、2008年から知多半島での仕事が多くなり、4年ほど知多半島をじっくり観察してきたのですが、それを踏まえて本作では、以下のことを表現したいと思いました。

1、知多半島には一体感があまりない
2、そんな知多半島をひとつに結び付けているのは知多四国と愛知用水ぐらい
3、高度成長期の開発はやりすぎじゃないの?


 知多半島は地形的な区分が一目瞭然なので、なにかというとひとくくりにされがちですが、自治体の枠を超えての精神的な結びつきは実はほとんどないんじゃないか、というのが4年間見続けてきた感想です。

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(半田の中心部のひとつ銀座本町。このアーチは現存せず)

 知多半島の中心はいちおう半田とみなされています。半島では唯一戦前に市制施行した町だし、昔の人には中心としての自負がいまだにあり、今回掲載した写真も圧倒的に半田のものが多いのですが、半田の吸引力が半島全域に及んでいたかというと、そういう印象はあまり受けません。
 歴史的にいえば、北部は横須賀、西部は常滑がそれぞれ各エリアの中心地的存在で、そのほかにも岡田、亀崎、武豊、古くには内海、大野、緒川などなど、有力な町がいくつもありました。
 知多半島は、それらの町がそれぞれに発展して小さな商圏を作ってきた地域であり、確かに半田には一目置いているけれど、基本的には各町の吸引力は横並び、突出した「都市」は存在しません。そのため、全体でみるとどうにもバラバラな印象を抱くのです。

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(常滑の中心部のひとつ市場町)

 おそらく北部の人は半田のことにはほとんど関心がないでしょう。半田と常滑も隣り合っているとはいえ、それぞれについて「特に興味ないっす」という感じが漂っています。半島脊梁部の丘陵地は標高は低いけれど、厳然として境界を作っているような気がしてなりません。
 かといって、本のエリアを細かく分けるのも現実的(すなわち営業的)にはいささか無理があるし…。
 だいたい「知多郡」というくくりが大きすぎる!郡単位で見たとき、そこそこの規模の町がこれだけ集まっているところは、全国探してもここぐらいじゃないでしょうか。「昭和の大合併」直前に「村」だった自治体は、知多郡では三和村(常滑北部)と篠島村、日間賀島村だけだったんだから。
 そういえば知多市誌を読んでいたら、岡田、八幡、旭が合併したとき、知多町とすることにどこの自治体からも文句が出なかった、ということが書いてありましたが、象徴的な話ではあります。

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(知多四国83番弥勒寺から太田川駅を望む)

 まあそんなわけで、知多半島の面白さは実は、産業の多彩さや山車祭りの多さではなく、こうした「一体感なき」特異な土壌にこそあると思っています。そこらへんを本書で味わっていただけたら幸いです(なにかを味わう本ではないですが…)。
(まさ)
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コメント

叢太郎

衝動買い
数年前、知多四国霊場開創200年で、チョットした巡礼ブームがありましたネ。資料を集め、徒歩/自転車で巡ろうと、一時思いまいた。そんな時、目にしたのが【保存版】知多巡礼紀行という、一万円でおつりが二十五円の結構な本。手に入れました。未だビニ本状態で本棚に!
これにも、まさヤン絡んでいたようですね…?
使い方、見どころ等のアドヴァイス頂ければと、ボチボチビニールを脱がしたく。

まさ

No title
おそらく知多四国関連本では史上初めて、一年を通じた撮影をしているので、その寺が美しい・面白いのはどの季節か、というヒントになると思います。あと、昔の人の徒歩巡礼ルートを示した、マニアックな地図ですね。
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MARUKA-DO

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東海地方を縦横無尽、
全国各地に神出鬼没の
取材・執筆・編集事務所。
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まさ…岐阜・揖斐川町出身
まり…愛知・尾張地方出身
2003~2019愛知県知立市在住
2019~岐阜県揖斐川町在住

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